女はマッチョに生きると危ないんだぜ論 ~光野桃の人生から学ぶ~

 

私は占い師です。

一般の人よりは、結婚・出産の悩みを聞くことが多いです。

 

うまくいかない方々は、共通して「ある姿勢」でいます。

私はそれに違和感を抱くこともありましたが「今の人はそうかもしれないな」と思って、占い以上のアドバイスはいわないようにしていました。

 

そんなある日、私が本を読んでいると、まさに我が意を得たりという一文を見つけました。

おしゃれエッセイスト、光野桃氏が婚活について語った文章です。

 

子どもが欲しい、だから結婚したいのだ、とわたしの周りの四十代は口を揃える。夫はいなくてもいいけど、子どもは欲しいの、と。女としてその気持ちはわからなくはない。けれど、どこかなにかが違うのではないか、と不安になる。

なぜなら結婚や出産が、人生で勝ち取るべきものの一環として考えられているように感じるからだ。

欲しいものはすべて手に入れるという「欲望の法則」、つまり自分に欠けているものを「埋める」発想がそこにあるのではないだろうか。キャリアを手に入れ、ブランドバッグを手に入れ、次は子ども、と……。

 

『あなたは欠けた月ではない』 文化出版局 赤字強調部:本文傍点。

 

そうそう、そうなんです!

恋愛・結婚を「ゲットするべきもの」ととらえているみたいなんです!

 

 

何というか「家電製品を揃えるように彼氏・夫を見つけたい」カンジなのですね。

あるいは「TOEICのスコアを上げるように、恋愛・結婚に取り組んでいる」といってもいいです。

 

プロセスではなく、結果を重視する。

戦略を立てて、相手が自分を愛するように仕向けて「結果」を出す。

そして極度の成果主義。

 

トロフィーワイフ(勲章としての妻女)という言葉がありますが、

それと同様にトロフィーハズバンド・チルドレンを求めてるような印象を抱いてしまいます。

 

あと「老後が不安」「シモの世話をしてもらいたい」と、結婚・出産を保険代わりにするタイプもいますね。

 

 

実際、光野氏自身がそういう人生を歩んできて、行き詰まりを感じています。

 

結果を出す、実績を出す。恋愛も結婚も成功させる。子どもを産んだら子育ても、おしゃれも美容もエイジングも、なにもかも、よりよい結果を出して勝ち抜かなければ、と思っていた。

そしてついに四十六歳のとき、その戦いに負けて力尽き、仕事をやめた。深い挫折感だった。

 

『感じるからだ』 だいわ文庫

 

こんなふうにガムシャラに何かを得てきた光野氏でしたが、最近は「やっぱりそれではよくないよね」との心境に至りました。

近年のエッセイでは、家族間の不調和や葛藤についてもかなり書いています。

 

恋愛は勉強、結婚は修行です。

出会いは縁のものだし、子どもは授かりものだし、旦那とその親戚はどうにもできません。

最も勝ち負けをもちこんではいけない分野で、勝ち負けにこだわるのはやめましょうよ。

というのが今回の提案です。

 

 

今の女性の理想像って何でしょう。家庭と仕事の両立ですか?

けれど光野氏は「恋も仕事もサラリとこなすワタシ」的なイメージに警鐘を鳴らしています。

(おしゃれエッセイストなのにね)

 

さらに気になるのが、三十代から四十代の女性たちによく見られる「仕事も母も女も完璧にこなしたい」症候群だ。

わたしの住む町やその周辺では、そんな雰囲気の若いお母さんたちを多く見かける。みんな本当におしゃれで綺麗。

自分が子育てをしていたときの余裕のない格好を思い出すと、感嘆とともに目で追わないではいられない。

きっと仕事もきっちりしているのだろうし、母としても妻としても人一倍頑張っているのだろうな、と思う。

それの何が悪いのかと言われるかもしれないが、それこそがマッチョ的な生き方なのだ。

 

『自由を着る』 KADOKAWA

 

仕事も家庭も介護もパーフェクト。おまけにいつでもキレイ。肩ひじはらずにしなやかに生きる。

そーいうのを目指すのが「女性のマッチョ」なんですと。

 

こういうマッチョタイプは勝てば(一時的には)いいですが、負ければ悲惨です。

ちょっとうまくいかなかっただけで「男に愛されない自分は価値がない」「子どものいない私は妻失格」的にメタメタに落ち込んでしまいます。

 

「そんなことはない」といっても、自己否定+自己評価の低さがミックスされてて、聞く耳持たず。

 

男性原理丸出しでガツガツ行動してるのに、相手からは「女性として」愛されることのみを求める。

それじゃー、うまくいかないですって。

 

 

まあ、どうしたらいいかというと答えはカンタン。

その「あの彼・結婚・子どもが手に入ればワタシは幸せになれるのに~」とギリギリ歯噛みしてる自分を何とかしてください。

そんなガムシャラな姿勢で無理やり縁づけたって、うまくいかないですって。

 

また「自分を変えろ」かよ。このブログいっつもそうだな!

だって、そういう結論にならざるをえませんよ。

 

しかしあるとき、そんなひとりが、ふと言った。

なんかね、心だけが寂しいんです。

ああ、これか、と思った。やはり原因は「欲望の法則」にある。自分のなかのそれを見直さなければ、いい出会いもないのではないだろうか。なぜなら心の寂しい女を、男は好きにならないからだ。

結婚とは生き物であり、自分ひとりの思うようにはなかなかならないものである。子どもはもっと思うようにならず、しかしその「思うようにならない」ことが人間を深めていく。

欠けているものを埋めようと焦る前に、すでにあるものの充実について目を向けて。わたしは彼女たちにそう言いたい。

いまのままでも、あなたは決して「欠けた月」ではないのだから、と。

 

『あなたは欠けた月ではない』 文化出版局 赤字強調部:本文傍点。

 

まあ一般論としても、欠乏部分にばかりフォーカスするのはお得ではありません。

光野氏の周りでは、マッチョイムズで「成功」している人はいないようですよ。

 

 

え?

女が見え張りとステイタスのために結婚・出産するのは当たり前?

結婚出産しなけりゃ、女の人生スゴロクで「あがり」になれない?

 

💡 そんなあなたに究極の質問です!

「もしあなたが男性だとしたら、今のあなたと結婚したいと思いますか?」

「もしあなたが赤ちゃんだとしたら、今のあなたから生まれたいですか?」

 

う~ん、やっぱり大事なのは愛じゃないですか?

結婚・出産する人もしない人も、幸せになれるといいですねえ。

それではまた~。