スピ×株=奇書『トレードコーチとメンタルクリニック』
さあ、今回は少し変わった本を紹介しましょう。
内容を一言でいうと
「ある時私はスピリチュアルな気づきを得た。そして真の教えを求めて、さまざまなグルのもとを訪ねた。
そして……。
私はスーパートレーダーになった」
というものです。
この著者バン・K・タープさんは、トレーダーのトレーナーです。
「キミのトレードは間違っている。こうすべきだ!」という人です。
そしてめちゃめちゃスピリチュアルがかっています。
「市場で成功を収めるためには、ある程度の覚醒が必要だ。さあ、私と一緒に魂の旅路へ出かけよう!」と言ってます。
本の中にはエックハルト・トール、奇跡のコース、ハイヤーパワーなどというそっち系のワードが頻出してます。
アマゾンレビューではボロカス。一部の人をのぞいて大ブーイング。
監訳者ですらドン引き。
本書は、トレードにおけるメンタルトレーニングの領域をはるかに超えて
行き着くところまで行ってしまった人たちの記録である。
監訳者による序文より引用。
でもまあ、著者がくり返す
「あなたがトレードしているものは、あなたの信念だ」という主張は間違っちゃいないと思いますよ。
トレードしてる時に「ぼくはテストで95点取っても、パパにほめてもらえなかった。
どうせ絶対よくない結果になるんだ、だったらもう何もしない方がマシだ!
ポジションぶん投げてやれえ~!」
なんてふうに、負の想念に支配されてたら、何をやってもうまくいきません。
間違っちゃいないんですが、ではこの本をおススメできるかというと……。
う~ん……。
アマゾンレビューの言う通り
「Aさんはこうやって大成功した。だからキミもぼくのセミナーを受けたまえ!」という宣伝部分が多すぎます。
また、この本では、肝心かなめの「ではネガティブ想念から解放されるためにはどうしたらいいか?」が薄いんですわ。
あるいは、自分一人ではできないような難しい/めんどくさい/観念的すぎるワークだったり。
それに「バイロン・ケイティのリトリートを受けた」だの、
「奇跡のコースに出席した」だの「とある仏門に入門した」だの、
スピリチュアル面はほぼ外注状態になっています。
じゃあ、そっち系の本を買って読んだらいいじゃん。
著者の内面探求の旅をはたから見てたら、単なる自己啓発・スピリチュアルオタクのようにも思えます……。
まあ、これは著者を責められないかもしれませんね。
彼の専門はトレーディングなんでしょう。
そういう人が「トレードがうまくいくかどうかは100%心理的なものだ。
スピリチュアルを取り入れたらすごくうまくいった! だからおまえらもやれよ!」といってる本です。
とにかく、奇書であることは間違いないです。
とんでもなく退屈で、何もすることがなかったら、読んでみられるといいでしょう。
キーワードは「潜在意識とトレーディング」です。