私は銀行ATMの前で、何分もかけて為子さんの通帳に記帳していました。

念のため、どこかにお金が残っていやしないかと思って。

だけどゼロ!

 

どれもこれもゼロですよ。

これなら持っていかなかった理由もわかるか……。

 

しかしこの人たち、確定申告とかどうしてるんでしょうね。

通帳がなくちゃすごく不便じゃないの?

 

やれやれ、とりあえずこれは返してあげましょう。

持っていても縁起悪そうだし。

 

 

私は為子さんに通帳を届けてから、司法書士の先生のところへ向かいました。

 

私「やっと終わりました! これも先生のおかげです」

司法「いやー、こんなに早く終わってよかったよ~」

私「……でも、あの人絶対に払わないと思いますよ」

司法「うむ、払えんやろうな。あの金額で裁判しても足が出るし、相手には返済能力がないし。でも、もっとひどくやられた人がおるんやで~」

 

先生は200万、300万もかかって、おまけに未だに立ち退かないケース(係争中!)について教えてくれました。

つまり不法占拠です。こわいですよね。こういうケースがほんとにあるんですよ!

ハンゲキ 家賃滞納9年間の男と直接対決 総額1000万の借金

 

司法「まっ、もうヘンな人に貸したらあかんで」

私「はーい」

 

 

さて、私が紅茶を飲んでいると、そのヘンな人から電話がかかってきました。

 

私「あ~ら、為子さん、ご機嫌いかが? 新居の住み心地はどうかしら?」(もうどうでもいい)

為子「はあ、まあ……あの、通帳ありがとうございます」

私「届きました? 良かったですー」

為子「それはいいんですけど……ひどくないですか?」

私「はっ?」

 

為子「最初、法律の先生連れてきたじゃないですか」

私「ええ、そうですね」

 

為子「話し合いだっていうのに、いきなりあの先生と、秘書さんまで連れてきて!

それで黄玉さんにガーッて言われて、ハンコ押して! こっちは何の準備もしてなかったのに!

 

私「………………方針立てて、話し合いに臨むのは当たり前じゃないですか?」

いやそんな、無為無策がピュアなんだって言われてもねえ。

 

為子「でもー! 1対3だったじゃないですか? ずるいですよ!!」

 

あなた50万円分滞納してたんですよ? それからさらに一ヶ月の猶予を与えてあげたんですよ?

それを「ずるい」とか「ひどい」とか……。

 

おまえ、やっぱり居座る気マンマンだったんだろ。

 

私「あー、そうですかあ?⤴ でも別にいいじゃないですかあ。もう引っ越しも終わったんだし。こちらはぜんぶオッケーです。私からも何もありませんよ~」

為子「で、でもー」

私「じゃっ、あとは毎月滞納分を払ってくださいね! 失礼しまーす」

 

さあ、為子さんは滞納金を支払ったんでしょうか?

実は私、その結末は知らないんですよ。なぜなら……。

 

 

夕食時。

 

専務「今日は新大家さんのところに遊びに行ってきたわ!

あの人たちのこと聞いたら『あっちゃ~、やられたぁー! 審査の時は「お店まかされてるんで、大丈夫です」っていってたんだけどなあ~』だって!」

大家同士は大体友達。

 

私「それはそれは、いいことしましたねえ~。うちみたいにならないように、訴訟の準備しておかないと」

 

新大家さんは代々の地主です。そんでもって専業大家です。つまりプロ大家です。

ああいう賃借人さんは、もうプロに任せましょう。きっといいようにしてくれますよ。

 

私「でも、まだひとつ問題が残ってるんですよ」

専務「滞納ぶんはもう仕方ないでしょ。返済能力がないんだから」

 

私「辺手蘭(べてらん)先生、うちで仕事したことありますよね」 第二話の冒頭参照。

専務「えっ」(←完全に忘れてたらしい)

 

先生は、私が自己紹介すると

「なーんだ、あの店のお孫さん? 昔、仕事したことあるよー。お母さん元気かな?」と色々教えてくれたんです。

 

私「社長の公正証書遺言の写しを見つけました。辺手蘭先生のハンコが押してありましたよ」

専務「そ、そうやったかな……」

 

私「あなたは専務で長女ですよ。あなた以外の誰がこんな仕事するっていうんですか?

それなのにあなたは辺手蘭先生にいわれのない誹謗中傷をした。

自分で使って良くなかった、というのならともかくね。ではそのココロは?」

 

司法書士の好みが似ているんでしょうか(笑)

これは神さまのお導きにちがいありません。

 

私「あなたはなんでもいいから私の邪魔をしたかったんでしょう?

あなたにできない追い出しを、私がするのが悔しかったんですね」

専務「……」

私「この家、出て行かせてもらいますね^^

 

 

おお、これがカルマというものでしょうか?

賃借人を追い出したら、自分も家を出て行くハメになりました!

 

でもまあ、これで良かったと思いますよ。

どうしようもない人は、ホントもうどこを切ってもどうしようもないですから。

滞納する人はまた滞納するし、裏切る人も同様です。

 

自立するきっかけができて、滞納人さんにも感謝ですね。

では次回、為子さんの金運を解説していきましょう。もうちょっとだけ続くよ!