帰ってきた 助けてクマさん! 賃貸トラブル即応マニュアル

 

そんなある日、専務が「あの家、引っ越ししてるよ! 冷蔵庫を運んでた!」と教えてくれました。

おお、今日が引っ越しの日ですか!

 

それにしても作男さんといい、為子さんといい、ぜんぜんホウレンソウしないですね!

一言事前に「〇月〇日に退去します。お世話かけました」っていえばいいのにさ。

 

私は夕方、借家を見に行きました。

「あの人、口だけだからな~。引っ越しも挫折しちゃったんじゃないの?」と心配だったのです。

 

家の前はわりあいスッキリしていて、荷物はあらかた運び出したみたいです。

よーし、これならまあ安心でしょう。

 

 

その時、家の中からもっさりした男性が出てきました。

あら、お手伝いの方かしら? ご苦労様ですね。

 

男性「なんや、あんた」

私「はい?」

男性「わざわざ見にきたんやろ」

 

ははーん、こいつ為子さんの兄貴か? 引っ越し作業を手伝ってるんですね。

 

私「そりゃ、引っ越し終わったかどうかは気になりますよ」

兄貴「なんだよー、嫌味ったらしく見にきてよー、おーう」

 

チッ、まずいな。丸腰ですよ。殴られたりしたらどうしよー。

 

でも、すぐに気を取り直して一喝しました。

「あんたらが居座っとんのは寝たきりの婆さんの家やで! 恥ずかしいと思わんのかっ!!」

 

 

するとまたまた、家の中から「がめつそうな」としか形容できないご婦人が出てきました。

為子さんのお母様ですね。

 

ご婦人「なんや、あんたウソばっかりついて!」

私「あー?」

ご婦人「家賃下げるっていうたやんか!」

私「いったかのー、そんなこと」

 

すると為子さんの兄貴が横で、下を向きながら

私たちに「もぉ~、やめよーよー、落ち着いて話し合おうよー」と言い出しました。

 

なんだコイツ。

15秒前におまえから絡んできたんだろうが。わけわからんわ。

 

ご婦人「あんた手紙に書いてきたやんっ!」

私「そうやったかなー」

 

兄貴の方は、アメリカ人みたいに大げさに両手をひろげて「はー、やれやれ、女どもの争いには付き合ってられないなー」という雰囲気を醸し出してから、家の中に引っ込みました。

 

ご婦人「書いとったわっ!(家の中に手紙を取りに戻って)ここにちゃんとあるんやからねっ!」

私「あー、そうねー」

ご婦人「〇〇党の△△さんにいうてやるんやからっ! 覚えときっ!」

 

私は、思わず口元がほころんでしまいました。

献金してねーのに政治家が動くわけねーだろ。

 

私「まー、私は引っ越しさえしてくれたらいいんで。後片づけがんばってくださいね!」

 

 

念のため、後日私は隣さん夫婦に訴えにいきました。

私「あの人たち、こんなこといってきたんですう~、こわいですう~、威圧行為ですう~」

 

奥さん「まああ~、50万も払わないで! えげつない人たちやね!」

旦那さん「ハァーー!(驚) なんちゅうふてぶてしいやっちゃ! そんならこっちは□□先生に出てもらうわ!」

 

隣さんご夫婦は正式に後援してるんです。これで何があっても安心でしょう。

とりあえず一ヶ月退去完了です。やりましたね!