私が出会った最凶の人物(6) ~無法者との戦い~
最初、為子さんは「引っ越し費用は今の彼氏が出してくれるから大丈夫」といっていました。
それからしばらくして「良い引っ越し先が見つからない」と言い出しました。
はいはい、どーせ出してくれないんでしょ。そうだと思いましたよ。
だって占い的にいえば「自分と同レベルの人が集まってくる」のですから。
「貧乏そうな奴は大体友達」状態なんでしょう。
そのうち為子さんは「お金なくってー」とばかりくり返すようになりました。
為子「いやー、引っ越しするのにお金がなくってー」
私「お金? お金ならあるでしょう」
為子「いやァ、ないですよ」
私「うちの家賃払ってないんだから、そのぶんお金ありますよね?」
為子「いや、ほんとないんですー」
「だってー、お金ないんですもーん、しょうがないでしょー」というヘラヘラした態度です。
マズい兆候だな……。
そんなある日、気づいたら駐車場の車がなくなっていました。
隣さんご夫婦が「レッカー車がきて持っていったよ」と教えてくれました。
よし、クズ、よくやった! おまえはもういい。
あとはこいつだ!
私は為子さんのことが気になって気になって気になって気になって、
たびたび電話をかけたり、家の前をうろついていたりしました。
季節は夏。暑い。炎天下。でもやります。
そしたら私、見たんです。
為子さんが子どもたちと軽自動車に乗って、
さらに子どもたちが炭酸飲料の缶(ロング)を一本ずつ手にしているのを!
おまえ車持っとったんかい。
それになんだよ子ども一人ずつにジュース500mlロング缶って。
節約などする気ございませんわってことでしょうが。
元ダンナ→壊れたワゴン
為子→軽自動車
家に二台も車あって「お金なくって家賃払えなくってー」だと?
そしてワゴンが付属駐車場をふさいでいた間、軽自動車はどこに止めていたんだ。
路上駐車? それとも他の駐車場を借りていたのか?
きっさまあああ……なめるなっ!
はい、ここでちょっと休憩です。youtubeでも見ましょうか。
ブラジルのテンベ族は、不法入植者や違法森林伐採者と日々戦っています。
自分たちの土地に勝手に無法者がやってきて、牧場作って羊飼ったり、木をギュイーンと切り倒して勝手に持っていったりするんです。最悪ですよ。
テンベ族の男性「土地を取り戻すには戦うしかない」
そう、その通り。先祖の土地を守るためには戦うしかないんです。
私は為子さんに毎日執拗に催告電話をかけました。
そしたら、電話を無視されるようになってしまいました。
だったら、自宅訪問、置手紙です。
期日まであと少し。
刑事事件にならない範囲で、ガンガン尻を叩いてやらないと!
そのうち「引っ越し先が決まった」とか言い出しましたが……。
その日も私は為子さん宅を訪問していました。
すると、為子さんの子ども(中学生)が出てきました。
私「ぼく、こんにちはー、お母さんいるー?」
子ども「今、いないです」
私「お母さんが引っ越しするっていってたんだけど、その話聞いてるー?」
子ども「ううん、聞いてない」
ほう……。
私「オラァ、為子ォ! ワレのガキがこんなこと言うとったで! あんたほんま引っ越しする気あんのんか!」
為子「ほ、ほんと引っ越ししますよ」
私「長男が引っ越しの日時聞いてないたァ、どういうこっちゃ! そんなことありえるかっ!」
為子「いやあの、生活リズムがずれてて、伝えてなかっただけで……はい、はい」
私「……チッ! 次から次へと言い訳ばっかり……ほんま、あんた、なんなんや?! ええかげんにしィや!」
為子「なんなんって……しますよ。引っ越しします! 私が引っ越しすればそれで満足なんでしょ!」
私「当たり前じゃ! 早う出ていけ!!」
いやあ、私もついついヒートアップですよ。
きっとこの記事は全国各地の大家さんも見てくれてると思いますが……わかるでしょ、私の気持ち?
その後、新居の契約書のコピーを持ってきてもらいました。
よしよし、これで新住所と新大家の名前を押さえられましたね。