私が出会った最凶の人物(4) ~インターフォンを使わない人たち~
さーて、私たちは借金作男さんの実家がある場末町(ばすえちょう)に辿りつきました。
時刻は夕飯時で、在宅可能性の高い時間です。
陰気な平屋日本家屋。明かりはついていません。
インターフォンを押しますが、うんともすんともいいません。
私「壊れてますよ。ここも夜逃げしたんじゃないですか?」
すると専務はフッと笑って、政治的に問題のあるセリフをいいました。
「ここは場末町や。場末町の人間はインターフォンなんか使わんのや。
戸をガラガラっとあけて、こんばんはー、と言ってごらん!」
えぇ~、なにそれ~?
いや、夜なんだから鍵閉まってるでしょ……扉に手をかけると……開いたー!?
「こんばんはー?」
「はーい」
うわっ、ほんとだぁ~! いたぁ~!
💡 滞納者(の関係者)はインターフォンを使わない!
廊下に明かりがついて、部屋の奥から女性が現れました。
借金作男さんの、今の奥さんだか内縁の妻みたいです。
まだ若そうなのに……人生いろいろと楽しいことがあるだろうに……なぜこんな借金男と?
私は深いもののあわれを感じました。
作男さんはいないそうなので、「車を動かしてほしい」との用件を伝えて帰りました。
ついでに、本人の電話番号と勤務先の会社名をゲットです。
さっそく本人に電話をかけます。
私「あなた、うちの駐車場に車置きっぱなしにしてますよね? 困るんですけど」
作男「あー、あれ壊れてるんですよ」
だからなんだっていうんだ。
「動かせないの~、そうなの~、じゃあそのままでいいわよ~」なんて答えを期待しているのか?
私「為子さんも引っ越しますし、置いておくわけにはいかないんです。わかりますよね? すぐにレッカー移動してください」
作男「あー、はーい」
この「あー」って、「あ゛ー」とか「う゛ー」って音に近いものですよ。
すごく……不安です……。
ああ、今さらですが「なぜ女だけで話進めてるの? おまえんち、父ちゃんとか兄ちゃんいないの?」などと思いますか。
うーん、家風といいますか。
祖母は女社長ですが、曾祖母もそうだったんですよね。
典型的女系家族です。
だからお金のことを取り扱うのは当たり前っていうか。
もし、ひいおばあちゃんがいたらどうするかな~。
「司法書士代がもったいない!」って、猟銃持ってきてぶっぱなすでしょう。
だけど私は、ぬくぬく育った世間知らずなお嬢様なわけで~。
私みたいなかよわい女性が、滞納者を追い出せるのでしょうか?