さあ、決戦の日です。

私と司法書士の先生と、その秘書さんで、お宅訪問~。

 

日当たり良好、二階建て一軒家の日本家屋です。

うっ、すっげえ散らかってるな……まあ子ども多いしこんなもんか?

 

その時、私は通された和室でヘンなものを見たんですね。

部屋の隅に一円玉がたくさん散らばってます。三十円くらいありそうな。ちょっと山になるくらいの。

……なに、あれ? 何かの開運法? いやそんなの聞いたことないな……。

 

部屋全体に若干の違和感を感じつつも、話し合いを進めていきます。

 

私「払えないのはわかってる。そのことはもういい。この家もキレイにしなくていい。ゴミは置いていってかまわないから。いるものだけ持って、一分一秒でも早く出て行ってくれ!!

 

話し合いっていうか通告ですね。

んー、家賃回収ですか? いやムリでしょ、この人。

 

それに何かこの人……凶運オーラっていうんですかね?

外見は若々しくて、決して醜くはありません。

だけど、今すぐにでも縁を切らなきゃ大変なことになるぞオーラがあるんですよ。いやホント。

 

こういう奴ァ、必ずまた問題を起こすぜ。

家賃回収なんかにこだわってる場合じゃあないですよ。

 

私がギャンギャンいったあと、先生が人情派刑事(デカ)のように語りかけます。

 

司法「あんたも、もうここにはおられへんちゅうことはわかっとるやろ?

もっと家賃の安いところに越さないとどうにもならへんで。子どもの教育費もかかってくるんやし。

滞納したぶんは毎月コツコツ払ったらええんやで。分割支払いの取り決めせんか?」

 

……為子さんもなんだか神妙な顔をしてます。

 

先生は為子さんに

「じゃ、私らはあと一時間くらい近くにおるんで、心が決まったら連絡してな」と言いおいて、私と秘書さんに外に出るよう促しました。

 

 

私は近くの喫茶店で、先生に尋ねました。

私「どーしてあそこでサインさせなかったんですか~? 決まりそうだったのにー」

 

司法「こういうのは時間を与えないとね。

自分で考えて、自分が決断したんだー! って思わせないと。

でないと、後からアレはイヤだ、こんなことするつもりじゃなかった、って言いだすもんなんや。

これで連絡が来たらホンモノやで

 

 

その時私は、極悪がんぼ2巻で、ソープランドの経営者が、面接にきた女の子をいったん帰らせるシーンを思い出しました。

 

他のキャラが「なんでや? 今すぐ客をとらせたったらええやないか」と尋ねると、

「アホ、そんなことして訴えられたらどうする? 人間ちゅうのは気が変わって当たり前なんや。

自分で決断してこうするんや、って覚悟がないと、使い物にならへんで」的なセリフを言ってたんですよね。

 

ほほー、なるほど~。追い出しも同じですね!

 

私が先生のありがたいお話を拝聴していると、電話がかかってきました。

サインするって。

よっしゃ、第一ラウンドクリアー!