トラウマを負っている人は、記憶のみならず身体感覚もバラバラです。

また、脳の警報器も誤作動を起こしがちで、さまざまな病気にかかりやすくなっています。

どうすれば自分の体の中に安らいでいられるのでしょうか?

 

(1)他者と話し、(再び)つながり、トラウマの記憶を処理しながら、自分に何が起こっているのかを知って理解するというトップダウンの方法。

(2)不適切な警告反応を抑制する薬を服用したり、脳が情報をまとめる方法を変えるような他の技術を利用したりする方法。

(3)トラウマに起因する無力感や憤激、虚脱状態とは相容れないと体の芯から感じられる体験をすることになるボトムアップの方法。

 

個々のサバイバーにこのうちどれが最適かは、実際にやってみないとわからない。私が治療した人の大半は、一つの方法だけではうまくいかなかった。p14

 

この本が画期的なのは、実際に脳に異常が出ている(=理性ではどうにもならない部分がある)とハッキリ解明したことです。

 

トラウマというのは、言語化できない恐怖感そのもの。

また私のように、記憶を保持していてもガンコに否認してたりします。

トークセラピーでは限界がある……。

 

「この人は偏桃体と内側前頭皮質の均衡が狂っている。だから、

・トップダウン マインドフルネスで体の感覚を監視しよう。

・ボトムアップ 呼吸を整えて、自律神経系をコントロールする練習をしよう」p105~

と、明快な診断を下せるところがすごいのです。

 

「心を安定させるためには規則正しい生活が大事だよ~、毎日ラジオ体操しようね~」という、気休めチックなものではないのです。

 

この本で詳しく紹介されている治療法には言葉、EMDR、ヨーガ、ニューロフィードバック、演劇などです。

 

特にニューロフィードバックという「脳波を整える」って方法にめちゃくちゃ興味あります!

サイバーパンクな雰囲気があってかっこいいです。なんかラクそうだし。

 

近くでやってるとこを見つけたんですが、なんですかこの値段は。

本格ニューロトレーニング・・・20回 440000円 (カード払い可能)

ちょっとお試しでやりたいだけなんですけど~。

 

 

さて、今の私ってどうなんでしょう。

人格円満とはいえませんが、薬は何ものんでおらず、夜十時には寝て、ふつうに働いています。

昔と比べて改善しているといえばいえるでしょう。

 

時を経たからだ……。

 

いや、違いますって。何年経とうがフレッシュなまま悪影響を与えるのがトラウマ。

もし日にち薬ですべてが治るのなら、幼少時の虐待は20~30歳頃にはすべて消失していなければおかしいですよ。

でも現実はそうじゃなくって、ねじくれた形でいろいろなひずみが出てきてしまいます。

 

それが軽減したなら、やっぱり何か効いたものがあるんですよ。

何が効いてたのかな?

 

1 書くこと 感情を整理する助けになったかもしれません。

2 夢分析 自分の精神状態をリアルタイムで監視できます。

3 パワーストーン 抑うつ状態にはペリドットとレモン水晶。

そろいもそろって正統派でなくてごめんあそばせ。

 

またパワーストーンかよ! うさんくさ~。

 

でも実際脳波測ってみなきゃ、どうなのかわかりませんよ。

この本の測定方法を用いるなら、今まで代替療法といわれていたものに、有意な効果を発見できるかもしれません。

フラワーエッセンスとか使って計測してみてほしいですね。

 

 

さて、この本が他の類書とまったく違っている点があります。

患者=かわいそうな人、

症状=抑え込むべきものではなく、

筆者は患者に尊厳を抱き、症状は回復に至るまでの抵抗の証であると考えていることです。

 

(DSM診断について述べて)だが、これらの診断のうち、私たちの患者の多くが生き延びるために発達させる並外れた才能や、奮い起こした想像的なエネルギーを考慮に入れているものは一つもない。診断は症状の寄せ集めにすぎないことがあまりにも多く、マリリンやメアリー、キャシーのような患者は、制御が効かなくなったので、まともな人間に戻してやらなくてはならない女性と見なされる可能性が高い。p228

 

トラウマ治療の要諦とは「どうやって自分が生き延びてきたのか」を思い出すことなんですって。

 

私が近所のお兄さんにつきまとわれて困っていた時(ネチネチつきまとってから襲いにきたのです)分かれ道にさしかかりました。

いつも通る道Aと、遠回りになる道Bがあります。

その時私はなぜだか「Bにしなければ!」と思って、その道を選びました。

 

それからまた分かれ道があって、暗くて危なそうな道Cと明るい道Dがあります。

私はなぜだか「Cにしよう!」と思ってそっちを通りました。

論理性ゼロですね。

 

でも結局それで正解だったのです。

Cの道で襲われたんですが、その先に人がいて助けてもらえましたから。

 

今では「そういえばあれが直感を使った最初の記憶かもしれないなあ」と懐かしく思い出すわけです。

そんな命賭けた実占なんて、ぜんぜんしたくはないですが。

 

 

さて、この本は自伝的なところがあり、コーク自身もトラウマ持ちであることが色濃く暗示されています。

 

父親と叔父は戦争によるトラウマがあるらしい。

母親には口に出せないような恐ろしいトラウマがある。

未婚の伯母もまたトラウマがあり、彼女は感情を失ってしまった。

トラウマ一家といっていいでしょう。

 

この書籍には患者の治癒過程がたっぷりつまっていますが、

それは同時にコーク自身が自分のトラウマを乗り越えてきた道でもあります。

読んでるとなんだかセラピー的な効果を感じますよ。

 

薬物療法に失望し、ありとあらゆるトークセラピーが効かないあなたにもこの本はオススメ!

私のような経歴の人間が納得するのですから、きっと良書ですよ。

次回はその実践記について。