さて『チベット旅行記』で驚かされるのは、慧海師のストイックすぎる生活習慣です。

ヒマラヤ山中で遭難しかけても、一日二食生活を貫いています。

 

そんな慧海は、15歳から「禁食肉・禁酒・禁不淫」をはじめました。

遊びたいざかりですやん。

そして10年間それを続けて、また一時期やめて、それから永眠するまでずっと戒律を守り抜きました。

 

しかし気になるのがこの「一時期」ですよね。

何日やめて、何の戒律を破ったんでしょう。ゲスな根性ですが知りたいと思います。

 

 

慧海は、生涯煩悩に惑わされることはなかったんでしょうか?

 

いや、そーでもないようですよ。

慧海はダアワという娘さんに求婚されて、女難に遭いかけたことがあります。

 

その娘は十九位でした。ごく美(よ)い方でもないが普通よりか美い方なんです。決して悪い考えはなかったので、つまり人があまり誉めるものですから、こういう人を自分の故郷に連れて帰ることが出来れば結構であるという考えを起したらしく見えたです。その後もそういうようなつまらぬ話は大分に持ち掛けられたですけれど、私だって随分そういう事には前方苦しんだ事もありますから、まあよい塩梅に切り抜けることが出来たのです。

 

しかるに娘はだんだんと興に乗じて自分のことを肯くようにと素振りをますます現わして来たです。その時にはちょうど親や兄弟は皆買物に行きまして、テントにおるのは私と娘だけですから、大いに時を得たりという訳でだんだんと勧め掛けた。私はその時に履を直して居ったです。履を直しつつ娘のぐずぐずいうやつを聞いて居るのです。実に面倒で仕方がない。まんざら樹の根や石の磧で出来て居る人間でないから幾分か心の動かぬ事もないが、そんな馬鹿な事をやった日には自分の本職に背く訳でも〔堕落で〕あるし、かつ釈迦牟尼如来の見る前も恐ろしいという考えがありましたから、それがために一点も心の底の掻き乱されるというような事はなかったです。

 

前方(まえかた)苦しんだ事がある。

ということは、以前は煩悩のとりこであったと?

 

揚げ足取りですが「幾分か心の動かぬ事もないが」といいながら「一点も心の底の掻き乱されるというような事はなかった」ってなんですか(笑)

 

 

実は私は2015年から、白砂糖断ちをやっています。(黒糖、きび糖、オリゴ糖、ハチミツ、メープルシロップ含む)

最初は「健康のためにやめようかな」と軽い気持ちではじめたんですが、これが実に苦しくって。

 

「砂糖を食べない=お菓子、加工食品、外食全般食べられないっていうことだ。パン生地、肉まんやコロッケ、うなぎのタレにも砂糖は入っているから……。カフェインもやめてるから、もう喫茶店行けないじゃないか! 自動販売機で飲めるのはミネラルウォーターだけ! ああ、世の中こんなに美味しいものがあるのに、砂糖断ちに何の意味があるというのか!?」

よくこんなふうに悶絶してました。

 

挑戦 → 挫折 → 再挑戦 のくり返しです。

絶対に行けないのに食べログでケーキ屋さんチェックしてじーっとチョコレートケーキの画像見てたり。

麻薬中毒患者の方の気持ちが痛いくらいわかりました。

 

ただ一年くらいチャレンジを続けていると、だんだん体が白砂糖を受けつけなくなってきました。

食べても美味しくないと思うようになり、今はちょっとでも砂糖が入っているものはすべてスルーしています。

 

でも焼き芋(甘いもの・糖質)食べてるじゃん……。

 

そうなんですよね~。

今年は甘みの強い果物も控えたいと思います。

 

 

まあ、私の戯言はさておき。

 

自分に厳しすぎるくらい厳しかった慧海。

晩年の慧海は「とうとう、ゆで卵の一つも食べずに、死んでいくんだなぁ」とつぶやきました。

万感の思いを感じますね。本当はお酒も魚も好きだったらしいです。

 

➡ ただしバターなどの乳製品は食べています。殺していないから可、なんでしょう。

 

辛い、苦しい、欲望を満たしたい!

でもそこをグッと我慢するから価値があるんだ!

 

慧海と尊者の対話にこういうのがあります。

白巌窟尊者「あなたはこれまで色慾のために心を苦しめ〔られ〕た事がありますか。」

慧海「かつて大いに苦しんだ事がありましたが、今はどうやら免がれたようであります。また全く免れんことを希望して居るものである」

 

慧海も私のように、新橋のおでん屋さんの前で逡巡してたんでしょうか?

まさかそんなことはしてないと思いますが、あの慧海ですら苦しんだのかと思えば、凡俗はいたく勇気づけられますね!

 

最近はミニマリストばやりで、同時に禅とかマインドフルネスとかがもてはやされていますね。

そのうち慧海的な出家ライフスタイルが流行るかもしれません。

 

 

さて、そんな慧海のプライベートはどうなんでしょうか。

慧海の姪っ子さんは、慧海が家で毎日朝晩二回次の文句を唱えていたと回想しています。

 

謹んで一切衆生に申し上ぐ

生死の問題は至大にして

無常は刹那より速かなり

各々務めてさめ悟れ

謹んで油断怠慢する勿れ

 

チベットの僧院じゃないんだからさぁ……。

 

毎日毎日こんなことをいう高潔すぎる叔父!

しかも精進料理しか食べないので食事の支度がすごくメンドウ!

 

慧海は日本では、弟の家に居候していました。しかも朝食と昼食は100%慧海の戒律に合わせていたそうです。

おいおい、自炊していないのかよ。

おかげで姪っ子さんまで強制精進料理です。居候のくせに、なんでそんなにデカい態度でいられるのか……。

 

うわー、やだ~。

こんな人が同居してたら、からあげ君食べながら漫画読んだりとか、絶対できないじゃないですか。

偉人であることは間違いないけれど、家族にすると大変すぎる!

 

まあでも私はこのお坊さん、好きですね。

 

興味のある方は、ぜひ『チベット旅行記』を読んで頂きたいと思います。

それではまた~。