はい、ここからは私が個人的に好きな話題です。

 

ある時、慧海が村人にありがたい説法をしていると、娘さんが宝石をくれると言い出しました。

 

それでだんだんチベットに在るところの仏教の有難い例話などを引いて説教の後に三帰五戒を授けて遣りましたところがめいめい布施物を上げました。その中に娘が一人居りましたが自分の首に掛けて居る珊瑚の飾りです。珊瑚珠が七つばかりでその間に宝石が一つ入って居るその飾かざりを上げたです。それは一旦取りましたが必要のない物ですから折角下すった志こころざしは確かに受けたがこれは入用がないからお還し申すと言って還して遣りました。ところでそれじゃあ何にも上げる物がないと言って大いに困ってその内の宝石一つだけくれました。その宝石だけはどうしても貰わないという訳にはいかない。外の人も是非請け取って遣ってくれと勧めますからその宝石だけ貰いまして今もなお記念として私の手にその宝石が残って居る。

 

現在、慧海が持ち帰ってきたチベットの文物は、東北大学に収蔵されているようです。

もしかしてこの中のどれかが、その娘さんがくれた宝石なのでしょうか?

 

 

慧海は何度も強盗の危機に遭い、また荷物を紛失したりしています。

それなのにこの宝石は無事に日本にやってきた。

もう大ロマンですよね!

 

 

ちなみに右下の目玉模様のビーズは「天珠(ジービーズ)」といって、瑪瑙に模様を焼きつけたものです。

模様によって効力が違うといわれています。

 

詳しく知りたい方は『宝石の力 幸運は形に宿る』著・北出幸男をご覧ください。

 

現在、アンティークの天珠は高値で取引されています。

しかし私は、天珠にはほとんど興味がありません。

 

たとえばこういう文章を読んだとします。

 

当店オリジナル作品。チベタンターコイズ(トルコ石)と東チベットカムの人々が着用していた古い縞瑪瑙のネックレス。瑪瑙のほぼ中心に白色の眼を意識した文様が見られ、対面には紅色の点がサークル状に見られます。背面は魔除けに護身の意味も兼ね古いチベットの鈴を。紐は濃淡二色の絹糸(組紐)を使用しております。ネックレスの長さ約63cm。※本品は短めに作られています。サイズをご確認ください。

引用元

 

カム族の天珠!

 

ちょっと見たばかりでも誠に強そうな坊さん。そのはずです。カムのいわゆる強盗商売〔本場〕の国の人間ですから非常に強い者でなくちゃあ巡礼が出来ないです。

 

その人はいわゆる強盗の本場であるカムの人です。様子を見るに実に獰悪(どうあく)なまた豪壮な姿であって眼眦なども恐ろしい奴ですから、強盗本場の中でも一段勝すぐれた悪徒であろうと思われたです。

 

その本場というのはどこかというとカムの近所でダム・ギャショの人であるということを聞きましたから少しく懸念も起りました。何故ならばその辺の諺にも 人殺さねば食を得ず、寺廻らねば罪消えず。人殺しつつ寺廻りつつ、人殺しつつ寺廻りつつ、進め進め そういう諺がある国の人でなかなか女だって人を殺すこと位は羊を斬るよりも平気にして居る位の気風でありますから容易に油断は出来ない訳です。

 

『チベット旅行記』を読んでるとカム=強盗の本場の国とインプットされてしまいます。

(ひどい偏見ですね!)

 

「本場もののアンティーク? きっと巡礼を何人も殺した獰悪な男が身につけてたんだろうなあ~。そうでなくとも、生まれてから一度も体を洗ったことのない、垢だらけのお婆さんが身につけてたんだろうなあ~」と思ってしまうのです。

前者は偏見かもしれませんが、後者はたぶん正しいでしょう。

 

そんなわけで私は天珠には一切ノータッチです。

写真で見るだけで十分。これもみ仏のお導きでしょう。

 

いつか河口慧海コレクションを一般公開してほしいですね~。

 

続きます。