はーい、ご無沙汰しております。易者の黄玉です。

最近、更新がぱったりと途絶えてしまいましたね。そういう時期もありますよ。

 

 

さて今回は、小栗康平『マイナスエネルギーを浄化する方法』をご紹介したいと思います。

いかにも半端スピリチュアル系ってタイトルですね。

 

ですが、タイトルから想像するものとは大きく違っています。

 

この著者は本物の精神科医です。

ある時小栗氏は、霊能力者の片岡さん(仮名)と出会います。

そして片岡さんが、浄霊の力で、精神病患者を治癒させる現場を目撃します。

小栗氏は「憑依霊によって起こる精神病があるのではないか?」と思うようになります。

 

やがて小栗氏は、片岡さんの浄霊にヒントを得て、解離性同一性障害に対する治療法「USPT」という手法を確立しました……という流れです。

このUSPTという治療法は、田房永子『呪詛抜きダイエット』の中で紹介されたことがあります。

 

 

しっかしまあ、霊能力者ですよ、レーノーリョクシャ。

多くの未読者は「トンデモ本に違いない」と決めつけるでしょう。

易者にいわれたくないと思いますが。

 

しかし著者の筆致は冷静で、常にバランス感覚を忘れていません。

この本のよいところは、従来の薬物治療、催眠療法、USPT、また片岡さんの霊感治療(浄霊)のそれぞれに、限界があることを認めている点です。

 

霊感治療のデメリットについても述べています。

まず一つ目は、浄化は受け身の施術であるという点だ。憑依霊が原因で精神的、肉体的なダメージを受けていたとなると、患者は病を自分の力で克服したという気持ちが芽生えない。困難な状況を自力で克服した経験は人間の精神を逞しくするが、そういう主体性を奪ってしまうおそれがある。

次に、浄化は依存性が発生しやすいという点である。再び体調がおかしくなっても、浄化を受けさえすれば良くなるという依存する気持ちが患者に起こる可能性は低くない。浄化のリピーターになってしまうようでは、これまた本末転倒である。(p65)

 

えてして人間というものは、「霊感」に過度な期待をしてしまいがちです。

しかし霊感があったからといって、奇跡を起こせるわけではありません。

 

「えっ、そうなの?」と思いますか。そりゃそうですよ。

霊能力に比べれば、破傷風のワクチンのほうがよっぽど奇跡です。

小栗氏は霊感はまったくないそうですが、そこのところを押さえている点が「わかってるなあ」と思いました。

 

ちなみに私も、霊感はまったくありません。

お客さまの立場としてはガッカリされるでしょうが、そうなのです。

 

ですがオカルト業界にいれば「精神病と霊能力」は同グループのものなんだな、と思うことがたびたびあります。

同業者を見ていて思うのは、過度な能力の冴えと、精神病は紙一重だということです。

占い師(霊能力者含む)と精神病患者は、カードの表と裏なのです。

いつ入れ替わっても不思議ではありません。

 

そもそも「易のシンボルから何かを読み解く」という行為は、精神科医から「それは呪術的思考だ。関係妄想だ」といわれかねません。

そう診断されれば「そうですねえ」というほかないです。

 

 

また更にこの本の中では、とても大事なことが述べられています。

私は霊の浄化をゆうに二〇〇例以上は見学してきたが、「なぜこの人に憑いたの?」と片岡さん(引用者注・霊能力者の人)が霊に尋ねると、「居心地がよかったから」「波長が合ったから」という答えが返ってくることが多い。確かに精神を患う患者は、総じてマイナス思考の傾向が強い。普通の人であってもいつもネガティブな考え方をしていると、だんだんと霊の波長と合いやすくなると片岡さんは言う。それが憑依につながり、心身に不調をきたしていることもあるそうだ。

つまり、霊のようなマイナスのエネルギーを跳ね返すには、前向きに生きていくことが何よりも大切なのだ。何事もプラス思考で考え、多少、楽観的なくらいがちょうどいいと片岡さんも話す。その点は、あまたの自己啓発本や指南書が「プラス思考になろう」とうたっているのと同じである。

言い換えれば、それは霊を浄化させても、本人がマイナス思考でいる限り、またいくらでも憑依されてしまうということだ。霊の浄化だけに頼って本人の考え方がプラス思考にならなければ、浄化の効力も短時間しか持続しない。そこを履き違えないことが肝心だ。(p53)

 

これはその通りでしょう。

お酒のみすぎ→肝臓こわした→治療した→元気になったからお酒をのもう、ではダメですよね。

 

そこで参考になるブログがこちらです。からあげ子のブログ

このブログの著者は憑依体質らしく、いつも何かに憑かれた憑かれた、エナジーバンパイアに吸い取られた~、といっていました。

しかしある時急に「それは自分の心が招き寄せていたことだ!」と気づきます。

 

でですね、これがまた引き寄せているのは「私たちの心の在り方」のようでして(そうじゃない場合もあるようですな…)、つまり、心を治さないといくら憑依を剥がしても、また憑依される…また狙われる…を繰り返す心のほうが多くてですね…。

つまり、私は今まで私の心で何度も何度も引き寄せてしまっていたんです、これが…。

最初は「は?んな訳ないでしょー私はむしろ被害者なんですけど…」と思ってましたが…いや、間違いなく引き寄せていたのは私の心…でした(涙)な、情けない…(涙)

 

 

小栗氏は「精神病は憑依霊のしわざだった」といいたいのではなく、

「自分のネガティブな思いがマイナスエネルギー(心の病または憑依霊)をひきよせる」といいたいのでしょう。

 

本人が良くなりたいと強く思わない限り、憑依霊はいつまでも憑いてくるし、その苦しみからもなかなか解放されない、と彼女は語る。(引用者注・彼女=霊能者の片岡さん)たとえ憑依霊が心の病の一因であったとしても、霊の浄化だけに頼るようでは根本治療にはならない。

浄化を行う際は、浄化が万能薬ではないことを患者によくよく話しておくことが重要である。先ほども述べたように、マイナス思考の人は霊にとり憑かれる可能性が高い。そのことを患者にも十分理解してもらい、前向きに生きる姿勢を持つことがいかに大切かをわかってもらうことだ。

要は本人の心の持ち様が一番大事であり、ネガティブな思考回路から脱却し、ポジティブな考え方へといかに変換できるかが重要なのである。霊の浄化はそれに気づくきっかけにすぎない。(p65)

 

もしも霊が憑いていたとしても、全面的に霊のせいにするのはよくないでしょうね。

なぜなら、その霊をひきつけたのは(ネガティブ思考をして、マイナスのエネルギーを発散させていたのは)、ほかならぬこの自分なのですから。

 

占い鑑定でも、「何かに邪魔をされているような気がする」「〇〇さんが念をぶつけてきてる」「もしかして霊のせい?」という方がたまにいらっしゃいますが、そういう思考法はやめたほうがいいかもですね。

 

実は「自分の人生を、誰かが妨害してくる」と思うことは、心地よいのです。

だって、自分の人生に責任を取らなくてすむから。

 

それに私が占った限りでは、そんな邪悪な存在なんていませんでした。ほぼ気のせいです。

あるいは、単に体調が優れないせいです。ゆっくり休めばよくなります。素直に休もうとせず、がんばり続けるから無理が出るのです。

どうにもうまくいかないので、霊のせいにして安心しているだけです……

 

「今の自分の人生は、すべて自分のせいだ」と心から納得すれば、何かが変わるはずです。

 

この『マイナスエネルギーを浄化する方法』は、精神医学関連のみならず、オカルト業界の方にもおすすめできる本でした。

 

 

現在この本は、加筆修正されて『症例X』というタイトルで出版されています。

こちらのほうが入手しやすいですね。

 

 💡 非常に重要な注意点

小栗氏は、心因性による精神疾患……特に解離性障害の一部に、憑依による精神病があるかもしれないと示唆しています。

統合失調症、躁うつ病、てんかん、発達障害については、一言もふれていません。

本も読まずに「ああ、自分の病気は霊のせいだったんだな。じゃあ断薬してお祓いにいこう」なんて行動は取らないでください!

まずは、かかりつけのお医者さんに相談してみましょう。

 

ちなみに、こちらが小栗氏の病院になります。

早稲田通り心のクリニック

 

「まともな精神科医」の看板をドブに捨てて、勇気ある本を出した小栗康平氏。

がんばれ、小栗先生!

映画監督の小栗康平氏とは、同姓同名のまったくの別人だ!

それではまた~。